Röom
1◯4
Fazendinha #2 -Brazil-
ファゼンジーニャ
Producer:
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Variety:
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Altitude:
Emilio Raimundo
Brazil
Minas Gerais
Conceição das Pedras
Sítio Fazendinha
Yellow Catuai
Extended Fermentation Natural
1,180 ~ 1,200m




<Sensory Profile>
とても綺麗なナチュラルプロセスのコーヒーです。レッドベリー系の果実味やピーチ、アプリコットなどの風味。とても滑らかな質感で冷めるにつれブラジルらしい力強さが感じられます。ブラジルのナチュラルとは思えないクリーンな味わいをぜひお楽しみください。
【Sítio Fazendinha】
エミリオと妻のロザナは、2013年にスウ・ジ・ミナス(Sul de Minas)のコンセイソン・ダス・ペドラス(Conceição das Pedras)で50ヘクタールの土地を購入しました。彼らは充分な資金を持っていませんでしたが、土地を所有していた農夫から良い条件を提示された為、家と車を保証金として置き、3年間で完済することができました。農場にはすでにサルチモールが植えられており、最初の収穫は良好でした。初回の支払いをするのに十分なお金を稼ぎ、未来は明るく見えましたが、次の収穫は悲惨で量と質の両方がはるかに低下し、返済に十分な収入を得られませんでした。そのため家と車を失い、16ヘクタールを残し、それ以外のすべてを元の所有者に返還しました。
そこで2人は大胆な決断をしました。サルチモールの木を伐採し、イエローブルボンを植ええたのです。この品種が彼らの土壌にうまく馴染み、正当な価格を得るために必要な品質を提供できる事を願っていました。エミリオの父親はコーヒーの苗床を運営しており、30年前に苗木を別の農家に売ったことを思い出し、何年も前の顧客に連絡し苗木を調達しました。その後の数年間、エミリオとロザナはとても苦労しました。3人の子供と一緒に彼らは家を借り、イエローブルボンの木が成長するのを待っている間少しでも収入を得るために働き、数年間は他の農家の収穫も手伝いました。
彼らの最初の大きな収穫は2017年、隣人が専門プログラムを持つ輸出業者であるCafebras (カフェブラス)にサンプルを持っていくよう、エミリオを説得しました。エミリオは忙しく、この最初のクロップが良い品質になるとは思っていませんでしたが、時間を見つけてCafebrasのオフィスにサンプルを届けました。Cafebrasは毎年コンペティションを開催しています。品質管理チームによって84点以上のスコアを獲得したすべてのロットは、ブラジルから5人の著名なカッパーが招待されるスペシャルカッピングに参加できます。2017年、エミリオは90.25のスコアでトップロットでした。
Cafebrasの専門プログラムのマネージャーであるNatalia Brito (ナタリア・ブリト)は、コーヒーのバイヤーに会う体で、ある日上位3位の受賞者をオフィスに招待しました。3人の農家はオフィスに到着し、2位と3位の受賞者の賞品であるお菓子とチョコレートが入った2つのカゴを渡されました。エミリオはロザナが喜びそうだと思いながら見ていました。その後、ナタリアは農家を招待した本当の理由は、彼らがその年のコンペティションでトップ3の生産者だったからと伝えました。残念ながらその発表を聞いたとき、エミリオは少しがっかりしました。他の農家はお菓子などの景品を受け取りましたが、彼が受け取ったのは、彼のコーヒーを購入したロースターに会いにスウェーデンとノルウェーへの旅行を約束する一枚の紙でした。彼は「そんな事は起こり得ない」と思っていました。
2019年3月にNordic Approachがオスロで会ったとき、彼はまだ信じられない状態でした。イエローブルボンを植えたことは、エミリオとロザナにとって変革的なものになりました。現在、彼らは新しい家を建て始め、建設が完了するまでの間はその小さな一角に住んでいます。ロースターに会えたのも予想外の事でした。エミリオは「ロースターが私たちの農場や標高、サイズや品種、乾燥などについて、こんなにも興味を持っているとは知らなかった」と話します。
Nordic Approachは長年にわたりエミリオと協力してきましたが、その間に農園のインフラや乾燥方法が改良され、ブラジルでは珍しい選択的収穫(セレクティブ・ピッキング)も一部のコーヒーに導入されました。
【Impact】
彼の農場への最初の訪問では、手作業による収穫の利点について話し合いました。手作業での選択的収穫は、機械を使った場合の最大3倍の費用がかかるため、エミリオは非常に疑念を抱いていました。ブラジルのような市場ではそのような価格では大きな需要を見込めないかもしれないので、この方法を採用する根拠は見出せなかったようです。
この懸念に対処するために、私たちは彼が厳選したコーヒーを5袋購入することを約束しました。そうする事で彼は一度試す事ができるからです。結果は予想を上回り、品質が著しく向上しました。この経験により、最初は実行可能ではないように見える市場であっても、選択的収穫が持つ価値と可能性が示されたのです。
【Picking & Processing】
エミリオは機械収穫と手作業での収穫の両方を実施しており、一部のロットではブラジルでは珍しいセレクティブ・ピッキング(完熟チェリーのみを選別する収穫)も行っています。彼のコーヒーはナチュラルプロセスで精製されており、チェリーのまま乾燥させます。2019年からはチェリーの発酵にも取り組み始め、乾燥前に数時間発酵させることで風味の向上を図っています。通常、このプロセスはコーヒーにより甘さを感じさせる効果をもたらします。発酵中に微生物がエステルと呼ばれる化合物を生成し、それがコーヒーの種子に吸収されます。エステルは焙煎中のカラメル化プロセスを通じて香りの前駆体となり、甘みを強調するのです。
【Drying】
私たちが最初に購入したエミリオのロットは直接地面で乾燥されていました。しかし、翌年にはコンクリートパティオを整備し、可動式のカバーを導入。その後さらに改良を重ね、現在はレイズドベッド(高床式乾燥棚)を導入し、より均一で安定した乾燥が可能になりました。エミリオの継続的な努力と設備投資が、コーヒーの品質向上に直結しているのが分かりますね。
(インポーター資料より)